TKG今日の一曲 たのしく現実逃避

つらい現実から音楽に逃げましょう

BUMP OF CHICKEN - 太陽

今回はバンプオブチキンのアルバム『ユグドラシル』より、『太陽』という曲を紹介します。

 

バンプオブチキンは今や日本のポピュラーミュージック界を牽引している大御所であります。1994年に千葉県で結成して今までに7枚のアルバムをリリースしています。

ユグドラシル』は2004年リリースの彼らの4thアルバム(メジャー2nd)です。個人的にはこの作品が彼らの最高傑作だと思っています。

 

 


Bump Of Chicken - 太陽 - YouTube

 

ちょっと怪しげな非公式動画ダァァァァア(写真はとても素敵)

 

この曲はBUMPの中でも1, 2を争う大好きな曲です。というのも、この曲の中でvo.の藤原さんは自身の「ジャンルに特化せず、だれもが楽しめるという意味での童謡を作りたい」という理念を一番きれいに表現できている気がするので。

 

BUMPは文学的な歌詞をどこか暗さのある曲に乗せて歌うというスタイルを日本に広めた立役者であり、自分の中では和製R.E.Mみたいな位置づけだったりします。

(BUMP好きでREM聴いたことない人は是非聴いてみてください。"Losing My Religion"とか特にオススメです)

 

でも歌詞の解釈は本当に人それぞれだと思うし、歌詞ってもの自体リスナーが解釈出来るように作られている場合と、作詞者自身の行き場のない苦悩だとかが断片的にブチ込まれてる類いのものがあると思うのであえてここでは触れません。いろんな解釈が出来る興味深い歌詞だと思うのでじっくり聞いて欲しいです。

 

ここでは音のほうに注目したいと思っています。

 

この曲はホント巧みだなって思うところがいくつかあるんですが、まず凄いのが最初のサビでいきなりドラムパートがなくなることです。

 

ちょっと曲作りとかかじったことある人ならわかると思いますが、最初のサビでドラムを抜くってのはなかなか勇気いりますよね?曲の全体の構成を相当練って初めて出来る鬼の所業であります

 

ふつうはそれでバランスが悪くなっちゃうところを、どうにかしているのがアルペジオです。そのあとのサビにも出てくるフレーズなんですがリスナーがリズムキープ出来るように少し大きめの音量でミキシングされています。

 

そして一番最後のサビの前半もドラムがありません。歌詞も呼応した作りになっているので色んな解釈が捗りそうですね。

 

もう一つ面白いのが、3:05辺りからの童謡チックなフレーズの差し込み方。

 

突然始まる童謡的な歌なのに曲全体の印象に違和感を与えていないのは、ひたすら上がっていくベースのお蔭なんじゃないかと思っています。ロックっぽい盛り上げ方の手法が童謡の穏やかさに中和されて、今まであまり聞いたことの無いような音になっています。

 

そしてこの童謡フレーズは曲のアウトロの伏線になっていたりもします。アウトロではメインの(曲の最初から続いている)流れと、このフレーズがそのまま重ねられて、ポリリズムが使われている曲のような複雑なリズムの絡み合いがブアーっと流れてきて、でも割とあっけなく終わります。いやあ面白いっす。

 

曲構成、フレージング、音作りのすべてが最後はVo.の藤原さんの優しそうだけどどこかヒステリックな声質と上手く絡みあって最高な感じになっています。

 

 

このアルバムを買って最初にこの曲を聴いたときって、たいていの人が「なんだこの暗ぇ曲」ってなって、もっとキャッチーな次のロストマンに行っちゃってると思います。

でも何遍かアルバムを流しっぱにしたりしてこの曲が耳に馴染んでくると曲全体の構成が頭に入って落ち着いて聞けるようになるかな みたいな所謂スルメ曲です。作ってるサイドもこの曲に関しては相当聞いては直してのプロセスを経てるだろうと思うので、耳にフレーズが染みついた状態で編集をしたのではないかと思います。リスナーが体験する「スルメ曲」的な感じはある種計算されているのかもしれないけど、同時に偶発的なものなんじゃないかと思います。

 

スルメの中でも旨すぎるスルメな曲なので、聴いたことがない方は是非是非。